Project
この新商品開発プロジェクトは、2020年春にスタート。
従来のプライドや価値観の枠ぐみを捨て、
外部人材も招き入れたメンバーで構成し、
有形無形のリソース(資源)を1から見直すところから始まりました。
そして、2020年秋に「Huffnagel(フフナーゲル)」ブランドを立ち上げ、
商品化第一弾となる「Oats Cookies Buttercream Filling Selection」が完成!
横浜の食文化を次世代につなげることがこのプロジェクトの使命です。
中原 奈々
Nana Nakahara
Brand Executive Producer
『レーズンサンド』の話になります。以前より、準製品として販売を不定期で行っていた、通称『レーズンオーツクッキー』が私は大好きで、それをサブレとして使用し、中身のクリームをバターたっぷりのバタークリームで、新しいプレミアムな『レーズンサンド』を作れないか、製品開発の梶谷さんに試作をしてもらったところ、大変美味しく感動したけれども、いざ正式な製品化となると、様々なハードルから、話が進まずに止まっていました。そんな中、コロナ禍が背中を推した形となり、受け身のままの状態では、事業が立ち行かなくなるという事態から、夫(社長)が意を決して新ブランド創設に本腰を入れてくれたことで誕生しています。
当時、出産したばかりの私にとって、「妻」、「母」という肩書きにしてくれた夫への大きな感謝がありましたので、恩返しではないけれど、ここで夫の力になりたいという思いで参加していました。この様にコロナ禍という危機的な状況ではありましたが、私にとっては悲観的な要素は全くなく、喜びや倖せでしかありませんでした。私はその思いやエネルギーの全てをこのブランドに注いでいます。
特にパッケージデザイン、ブランドコンセプト、ブランドフィロソフィー、店舗の空間デザイン、宣材写真のスタイリング、コピーなど、見た目に関わる所にそれを注ぎました。素人の私が、注いだエネルギーを「見た目」で表現するためには、それを再現してくださる、石島さんや万里子さんをはじめ多くのその道のプロの方のお力をお借りしなくては実現しませんでした。プロジェクトが成熟していくにつれ、(途中からオペレーション責任者の奈美さんも加わり)プロジェクトに関わる皆のエネルギーを感じながら、それをブランドの全てに注ぐということに集中していく内に、ブランドがスクスクと育って行ったような、2人目の我が子が育っていくような感覚を味わいながら、現在に至っています。これからもずっと、それを大切に育てて参りたいと思っています。この文章を読んでくださった方にも、是非ご一緒に『Huffnagel』の成長を楽しんで頂けたらと願っています。
中原 一久
Kazuhisa Nakahara
Brand Executive / Accountant
かをりレーズンサンドは今から50年前に伯母の板倉敬子氏が考案してこの世に生まれました。それからほとんど配合や味を変えることなく製造しています。
私が母の中原悦子氏より代表を継承してから、同じお菓子を日々製造するだけで良いのだろうか?との疑問が出ていました。というのも、50年前ならいざ知らず、近年は本当に多くの美味しいお菓子が誕生しており、弊社は時代の潮流に取り残されているとの危機感があります。伝統あるお菓子もやがて埋没して人々の記憶の彼方へと霧散してしまうのではないかと。それならば、レーズンサンドを温故知新の精神を基に現代の技法や表現を取り入れて生まれ変わらせてみよう!との思いに至り誕生したブランドが、「Huffnagel(フフナーゲル)」です。
お菓子のみならず、ブランドイメージやパッケージデザインにも私たちが今できる最大限の労力と想いをかけています。皆さま、是非一度このお菓子をご賞味いただき、新しい時代の息吹を感じ倖せな一時を体感してください!
石島 康裕
Yasuhiro Ishijima
Art & Brand Director
横浜の居留地を学ぶ機会があり、必ずと言っていいほど、日本で最初の西洋式ホテル、その創業者フフナーゲルの名前が出てきます。かをりの創業者は豪華客船の司厨長であり、元船長であったフフナーゲルとの共通点もあり、現在の山下町70番というのは、まさに「時空」という言葉通り、特別な場所であると感じています。
それをどう商品に活かすか?単なる都市文化をブランド名にしただけでは、面白くなく(まぁ、そういうものもたくさんありますが)、正確には商品に活かせなければブランドとは言えないものとなってしまいます。
この素晴らしい「味」に表現された「ものづくり」と「横浜居留地の文化」を『ものごと=ストーリー』として、どのように展開するのかが難しいところであり、正直答えは出ていないような気もしますが、限られた条件の中で、私たちの考えを形にできたと思っております。そして、まだまだ発展性があり、私たち「かをり」として、誇りの持てる商品が作れたらと思います。
上野 奈美
Nabi Ueno
Brand Director
私は音楽家としてキャリアをスタートさせました。生まれてから練習漬けの日々。音大を経て社会に出ても、他の可能性なんて想像もしませんでした。そんな中、夫が海外へと活躍が広がり、道を切り拓く姿を見て、いつしか自分も心から望んだ仕事をしたいと思うようになりました。
そこで飛びこんだのがお菓子の世界。輸入販売で起業したオーナーとの縁から仕事が始まり、その道はHuffnagelに導かれるように繋がりました。
そして、Huffnagelに携わる人々の志に強く魅せられ、はっきりと私の進むべき道が見えたと感じました。
私の役目は、Huffnagelが創り出すものを、お客様に届けること。Huffnagelを、私の言葉や接客にのせて世界に届けたい。そして自分の将来・Huffnagelの未来に心からワクワクしています。
Huffnagelとお客様も共に歩んでいける、永く続く関係であってほしい。その想いと共にHuffnagelとこの道を歩んでいきたいと思います。
梶谷 祥子
Sachiko Kajitani
Product Developer
初めて試作したとき、あまりのおいしさに我ながら大変感動したことを覚えています。その後「食べたことのない感動のおいしさ」を皆様にお届けできるよう試行錯誤を繰り返してきました。
初期配合で十分に美味しかったのですが、さらなる美味しさを求め原材料の選定と試作を繰り返し、納得のいく味に仕立てました。メレンゲを使用したバタークリームは扱いづらく不安要素は数えきれないほどありましたが、幾度も失敗し工場製造に最適な仕込みを考えていきました。また、フィリングの形にもこだわり、バタークリームはギザギザを残した形に、クリームチーズとあんこは丸みを帯びた形に、作っては製品の横顔をじっと眺め、クリームの量・形・フルーツの置き方を1つずつ決めていきました。
こうして出来上がった製品を皆様の元にお届けできると思うと感極まるものがあります。どうかお手に取って1つ1つのかわいい横顔を鑑賞しながら、ゆっくりと味わってください。
辻元 万里子
Mariko Tsujimoto
Designer
デザインに関するアプローチは、時を1860年まで遡り、当時の横浜港の異国情緒溢れる街並みや史上初めてできた本格的な西洋ホテルを想起させるべく、同時期に西洋で花開いたアールヌーボーの要素をふんだんに取り入れました。
エッセンスは、アールヌーヴォーですが、現代において手に取る人の心が弾むような、これから口にする特別なお菓子への期待が高まるよう、思いを込めて制作いたしました。
株式会社かをりの確かな歴史と、そこから紡がれる新たなブランドのストーリーに感銘を受け、そのストーリーがパッケージでも体現できるよう尽力いたしました。打ち合わせを重ねながら経営者の皆さんの並々ならぬ熱意に触れました。そのたびに奮い立たされ、良いパッケージになったと思います。なにより、こだわり抜いた素材と製法で、本当に美味しいバターフィリングセレクション。そのおいしさへの期待感と満足感を助長するものになりますように。